執刀医から、手術の顛末を説明された。「破裂した卵巣を取り出して、縫って、きれいに洗って戻した」という表現に目が点になった。
破裂してた!?そしてとりだされてた!
チョコレート嚢胞と卵巣のう腫茎捻転
激痛の原因はこれだった。
卵巣のう腫茎捻転
チョコレート嚢胞
このねじれによって、卵巣にできたチョコレート嚢胞が破裂。激痛を引き起こしていたらしい。幸いというか、卵巣自体は破裂した部分をキレイに洗って(?)縫い合わせることができたので、体に戻され元の機能は保てるとのことだった。
卵巣のう腫茎捻転
卵巣は、子宮の左右に一つずつ垂れ下がった状態で存在する臓器です。体の向きや動きにあわせてプラプラと揺れ動いて、通常はすぐに元の位置に戻ります。ところが、卵巣に「のう腫」と呼ばれる袋のような腫瘍ができると、動いた際に子宮とつながっている部分でねじれ、そのまま元の位置に戻らなくなることがあります。この状態を卵巣のう腫茎捻転といいます。
一般社団法人 千葉市医師会
チョコレート嚢胞
チョコレート嚢胞は本来子宮の内側にある子宮内膜が卵巣に発生することで起きる子宮内膜症の一種です。本来、卵巣に出来た内膜病巣も月経時に剥離して経血として排出されますが、排出されない古い血液がチョコレートの様な状態でたまり、袋(嚢胞)を形成することを「チョコレート嚢胞」と呼びます。
チョコレート嚢胞 | 主な婦人科疾患 | 医療法人社団實理会 東京国際大堀病院
ねじれて破裂・・。放置すると、臓器が壊死する可能性もあるという話も目にした。危機一髪だったということか。
医療関係者のみなさま、助けてくれてありがとうございました!
10日間の入院を経て
本来、横にメスを入れた方が後々傷は残りにくいらしいけれど、私の場合は緊急だったので縦にメスが入っていた。
次の日からガシガシ歩いてはいたけれど、痛いものは痛かった。自分が我慢強いといっても痛かった。歩くときは、常に患部を抑えないと歩けなかった。歩いてパカパカ開きそう、と思うのはやはり縦切りなのかもしれない。
傷が痛むタイミングとしては寝ていて起き上がる瞬間、あとは咳やくしゃみしたときがめちゃくちゃ痛い!一撃が大きい!
そして、入院中はやることがなさすぎて暇だった。スマホではなくガラケーの時代。今みたいにネットでサクサク検索してほしい情報をなんでもゲット!できる状況でもなかった。
有料だったか無料だったか覚えていないけれど、病室についていたテレビを見ているくらいしかやることがなかった。
働くことが大好きです!という殊勝な気持ちは当時持っていなかったけれど、やることがない入院生活を続けていると、「早く働きたい」と思うようになっていた。驚きの思考の変化なり。それほどまでに退屈だったということ。
退院後のこと
日常生活もままならないだろうと、一時的に実家に戻った。当時は元気な祖母もいて、あれこれ手厚く扱われ10日の休養を得た。
笑いのツボが浅い弟妹が、何かと笑わせてくるので(わざとではないらしいが…)、その都度一緒に笑ってしまい、傷が開くんじゃないかと何回思ったことか。
いつから主流になったのか、大きなホチキスのような金具で閉じられた傷口は、抜糸、といっていいのか、そのタイミングでポチポチと簡単に外された。
なかなかくっつかずぐじゅぐじゅしていたので、ちゃんと閉じるのかこれまた不安だった。
ほぼ入院と自宅療養で1ヶ月近く休んでしまった。私は職場で一番下っ端だったこともあり、年上女性の多い職場ではみなとても心配してくれた。「重いものはしばらくもたなくていいから!」「すわってな!」姉さんたちのやさしさに感謝だった。
生理が重い人は早く病院へ
私は、まだ少女の頃から生理痛が重かった。
中学時代、座って授業を聞いていられないくらいの痛み、顔が真っ青になることもしばしば。月に一度現れる保健室の常連となった。
保健の先生は、私の顔色を見るなり「ベッドに横になりなさい」といつも休ませてくれた。
母も婦人科の病気で手術をしていたし、生理痛は重かったらしい。体質が似ちゃったね、ごめんね、とよく言われていたけれど、母のせいでは全くない。
常に鎮痛剤を持ち歩かないと不安だった。
ある日の体育の日は、長距離走だった。走っているときはまだ平気だった。しかし、走り終えてから生理痛がひどくなり保健室に向かった。あまりにいたそうだからと、付き添いに友人をひとりつけてくれたのだが、保健室にたどり着く前に、あまりに痛くて廊下でうずくまり、果てはうつ伏せになって動けなくなってしまった。
思えば、あの頃に一度婦人科にかかるべきだったのかもしれない。
今のようにネットで情報を調べることが当たり前ではなかった。
率先して、友人と生理について話すこともない。情弱だった。親にそこまで痛いことを話す、という頭もなかった。
自分自身、身近な人が生理痛で辛そうならば、病院にいってほしいし、行くことを促してほしい。
体内で何が起こっているかなんて、自分で判断つかないことだから。
追記…小さな小さな子宮筋腫のはなし
この手術を受けたあと、ひとまず無事に終わってよかったね!という話の後、執刀医が付け足して言ったことがある。
「直径3ミリ程度のちいーさな子宮筋腫があったけど、どう作用するかわからないからそのままにしてあるよ!」
軽やかな宣言。その時はそっかぁ、くらいに思っていた。しかしこれより9年後、この小さな筋腫はとんでもない成長を遂げる…